[神経科学の発展のために] 「ヒト脳機能の非侵襲的研究の倫理問題などに関する指針」の周知徹底のお願い

平成24年2月28日
 日本神経科学学会では、2001年に「ヒト脳機能の非侵襲的研究の倫理問題などに関する指針」を策定し、さらにその後の研究動向、社会情勢の変化に対応して、2009年にその内容の大幅な改訂を実施し、日本神経科学学会会員のみならず、非侵襲的なヒト脳機能研究を行おうとする多くの研究者に本指針の遵守を求めてきたところであります。
 「ヒト脳機能の非侵襲的」研究は、人の尊厳に直結した「心」の領域をも研究対象とすることから、例えば、“心を操作されるのではないか”といった、危惧や懸念を社会に引き起こすことのないよう充分な配慮が求められます。これら人を研究対象として実施される脳神経科学研究においては、被験者/実験参加者やその関係者の福利に対する配慮が科学的および社会的利益よりも優先されなければならず、研究者は被験者/実験参加者やその関係者の尊厳およびその人権の保護の原則を遵守し、倫理的・法的・社会的問題に十分な配慮を行った研究計画を立案し、それに則って研究を遂行することが求められます。
 現在、当該研究分野の発展には目覚ましいものがあり、今後も新たな研究が多くの研究者・研究機関によって計画・実施されると予測されます。そこで当学会としては、ヒト脳機能の非侵襲的研究の倫理性の確保のため、再度、当該研究に携わる研究者・研究機関に本倫理指針の内容を喚起し、その周知及び遵守の要請をお願いするところであります。
日本神経科学学会 倫理委員会委員長 定藤規弘
日本神経科学学会 会長 宮下保司

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