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SfN Neuroscience 2022 参加記

筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構
博士後期課程3年 小柳 伊代
今回JNS-SfN Exchange Travel Awardのご支援を受け、2022年11月12日から16日にアメリカ・サンディエゴで北米神経科学学会(SfN)にて発表をする機会をいただきました。
本大会は2年ぶりの現地開催であり、私にとっては海外で開催される学会に参加するのはこれが初めてでした。指導教員の坂口昌徳先生の勧めで、サテライトミーティングの一つであるMolecular&Cellular Cognition Society (MCCS: 11月10-11日) にも参加し、ポスター発表を行いました。MCCSのポスターセッションはリラックスした雰囲気でありながら、熱い議論が交わされていました。MCCSのシンポジウムは自身の研究に深く関連する演題が多く、各発表者のプレゼンスキルと研究の面白さに圧倒されました。発表者のGina Poe博士とランチをする機会もあり、自身の研究内容についてアドバイスをいただくこともできました。この最初の2日間で、言葉の壁を感じることなく、直接会話をするというのも後押ししたのか、非常に有意義な時間を過ごすことができ、大会本番がとても楽しみになりました。
12-16日の大会当日は規模の大きさを実感し、朝から夕方まで最先端の研究成果に触れることができました。私はレム睡眠中の記憶固定化メカニズムとして海馬の神経同期活動と海馬の新生ニューロンの可塑的変化に着目した研究をしていますが、この研究について、より多様な研究アプローチを視野に入れるべきではないかと考えさせられました。KAISTのJin-Hee Han博士と理研CBSのJoshua Johansen博士に、自身の研究について話す時間を作っていただき意見を伺うことができたのは特に貴重な経験になりました。自身のポスター発表では、AIを用いたリアルタイム睡眠ステージ判定(UTSN-L2)について紹介しました。UTSN-L2は睡眠中の光遺伝学による神経活動操作など、さまざまな睡眠ステージ特異的な介入実験に応用が可能なシステムです。大会3日目のポスター発表では若手の研究者が多数見にきてくださり、睡眠中の神経疾患の治療や研究を目的とした応用について話を伺うことができたり、睡眠判定精度の向上に有用なパラメータ等について議論をすることができました。
「各種トラベルアワードを受賞した世界各国の若手研究者には、学会2週間前のオンラインの事前講習、学会初日のオリエンテーション、International Fellows Poster Sessionが開催されました。事前講習では、学会はマラソンだと思って歩きやすい靴を履いてきた方が良いとか、大会のアプリの効率的な利用方法、積極的なコミュニケーションの取り方など、初めてこの規模の学会に参加するにあたって役に立つ情報を教えていただきました。また、JNS-SfN travel awardの受賞者の方々と研究や進路、学会の過ごし方などついてご飯を食べながら和気藹々と話をしたのは楽しい思い出になりましたし、同年代の研究者から良い刺激を受けました。International Fellows Poster Sessionでは、元々見たいと思っていたポスター発表者がこのセッションにも参加されていたので、本番の発表に先行してポスターを見ることができました。本番のポスターセッションでは人だかりができて話せないこともあるので、前もって発表者の方と時間をかけて話すことができたのは幸運でした。見るポスターのスケジュールが沢山重なっている場合には全て回るのは大変でしたので、このポスターセッションやMCCS、各種イベントは、大会本番とは別で様々な研究者と話すことができる機会となり、参加して大変有意義に感じました。
大会期間中だけでなく帰国後も、坂口研究室のメンバーとは、大会で気になった発表やそれに基づく研究アイデアなどについての議論が続いています。大会で知り合った研究者と連絡が取りやすくなったことで、自身の研究活動も活発になっているように感じます。このような雰囲気は自身にとって新鮮であり楽しく、本大会が無事に開催されて現地参加することができて本当に良かったと思います。レム睡眠中の記憶固定化メカニズムと新生ニューロンについての研究をさらに発展させ、今後の学会でも多くの研究者と議論をさらに深められるように、これから一層精進して参りたいと思います。最後になりますが、このような貴重な機会を与えてくださったJNS及びSf Nの関係者の皆様へ厚く御礼申し上げます。

ポスター発表の様子(写真左が筆者)
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