生理学研究所研究会「多次元脳形態研究会」
(12/14-15, ハイブリッド形式)
今日の脳研究で脳の形態を研究する際には、対象となる空間スケールや計測原理の異なる多種多様な方法が用いられています。こうしたアプローチの多様性は脳研究を進展させる上で非常に有用ですが、一方で専門化・細分化の進行によって、分野や空間スケールを超えて議論をする場がなかなか設定できないことが課題である言えます。実際のところ、脳の形態を対象とする研究においてはミクロとマクロの間のギャップ、解剖学と非侵襲イメージングの間のギャップ、対象となる種が異なる研究間のギャップ、基礎研究と臨床研究の間のギャップなど、多くの障壁が存在しています。こうしたギャップの存在により、潜在的な共同研究の機会が損なわれているように感じられます。
このため、昨年度に続き「多次元脳形態研究会」という研究会を開催し、細胞レベルの形態学的・解剖学的研究、齧歯類を対象とした脳形態研究、非ヒト霊長類を対象とした解剖学的研究・脳機能マッピング研究、ヒトを対象とした脳イメージング研究・病態研究・脳損傷研究などに取り組まれている研究者が一堂に会することで、新分野の開拓の機会を提供したいと考えています。昨年度はWeb開催となりましたが、今年度についてはハイブリッド形式での開催を計画しており、オンサイトのみのポスターセッションや意見交換会(懇親会)の開催も予定しています。
2023年度生理学研究所研究会 多次元脳形態研究会
代表者:
一戸 紀孝(国立精神・神経医療研究センター)
担当者:
竹村 浩昌(生理学研究所)
日時:
2023年12月14日(木)~2023年12月15日(金)
形式:
ハイブリッド形式
オンサイト会場:
生理学研究所(明大寺地区)1階大会議室
オンライン会場:
Zoom
講演者および演題:
井上 謙一(京都大学) |
「越シナプストレーシングによる霊長類大脳皮質―大脳基底核ループ回路の構造解析」 |
金子 奈穂子(同志社大学) |
「傷害脳における新生ニューロン-アストロサイト相互作用とその制御」 |
木村 晃久(和歌山県立医科大学) |
「視床網様核を介する感覚入力の干渉と高次脳機能出力による感覚情報処理の制御」 |
桐生 寿美子(名古屋大学) |
「ダメージ応答メカニズムに光を当てた神経再生・変性研究」 |
國井 泰人(東北大学) |
「統合失調症死後脳のマルチオミックス解析の現状」 |
續木 大介(高知大学) |
「四次元の時空間に見る脳梁の形態形成と機能的発達の推移」 |
仲嶋 一範(慶應義塾大学) |
「アストロサイトが大脳皮質内に分布するしくみ」 |
中嶋 理帆(金沢大学) |
「脳損傷患者における覚醒下マッピングと神経画像解析を用いた脳機能ネットワーク研究」 |
根本 知己(生命創成探究センター・生理学研究所) |
「新規多光子顕微鏡による細胞生理のイメージング」 |
古田 貴寛(大阪大学) |
「多面的アプローチによる感覚と運動の神経回路研究」 |
堀 由紀子(量子科学技術研究開発機構) |
「モノアミンによる意欲調節とその障害―霊長類の分子イメージングによる探索」 |
渡我部 昭哉(理化学研究所脳神経科学研究センター) |
「マーモセット前頭前野トレーサーデータベースから考える大脳皮質構築」 |
プログラム:
参加登録フォーム:
問い合わせ: